ハツミモータース物語

眩しかった部品と叔父さんたち

今でも忘れない、夏の夕陽を受けて輝く、綺麗に並べられたバイクのパーツ類。
女の子なら宝石を見て「綺麗」と思った時の、あの気持ちに似ていたかもしれません。
並べられていたのは、オイルで汚れた手ぬぐいの上だったのですが、僕にはとても綺麗に見えたんです。
「わぁー何だろう?」って思ったんです。

子供の頃、夏休みに母親の実家に遊びに行くと、そこで叔父さんが友だちと楽しそうに何かをしていました。
まるで僕らが友だちと遊んでいる時の様に楽しそうな叔父達。
その笑顔から、楽しいことをしているに違いないと思った僕は、叔父さんのところに「何してるのー?」と駆け寄りました。

訛りとドヤ顔混じりで「単車やってんだ、見ちろほーん(見てみろ)」と、言われても子供の僕にはよくわかりませんでしたが、
その単車というものを構成する多くの複雑なパーツは、形も役割も僕の好奇心だけをくすぐり、
焼けたオイルの匂いと共に強烈に僕の心に焼き付いたのでした。

ハツミモータースの原点

バラされたバイクを見た時の思い出と好奇心は色あせることなく、常に心にあり続けた高校二年の時、
「動かないけどいるか?」と、友人のお兄さんから動かなくなったホークⅡというバイクがあるという連絡をもらいました。
「バイクをバラせる!」
そう思った途端、あの時の夕陽に照らされたパーツの輝きと、焼けたオイルの匂いが僕の中に蘇り、
二つ返事で僕はそのホークⅡを引き取りました。

当時はインターネットも無く、サービスマニュアルの存在も知らなかった僕は、
前から買いあさった本をマニュアル代わりにして、時間の許す限り、時間のある限り、もらったそのバイクをバラし、
バラした時に使えなくなっている部品はバイク屋さんに取り寄せてもらっての試行錯誤し続け、
ホークⅡの再生に全エネルギーを注ぎました。

その結果、ついに蘇らせる事ができたホークⅡ。
今まで静かだったマシンを始動させたときのステアリングに伝わる振動は、実は興奮し震える手・・・だったのかもしれません。
スロットルを開けると、エンジンは振動し、心地よい音が響き、マフラーからは暖かい排気ガスが。
当たり前のそれら全てが嬉しくてたまりませんでした。
再び命を吹き込まれたホークⅡは、自宅の庭という小さなテストコースの中だけど、僕を乗せて走ってくれました。
その興奮と共に、深く強く心に刻まれたその時の事は、今でも鮮明に思い出す事が出来るほどであり、
ハツミモータースの原点だと思っています。

ガレージからスタート

高校を卒業後、バイクの免許を取得した後、初めて購入したのはHONDAのNS250Fでした。
このバイクもさんざんバラし、組み立てを繰り返し、乗るだけではなく、全てを知り、触れ、全身でバイクと向き合いました。
乗る楽しみと合わせてメンテナンス、チューニングしやすい2ストのバイクに魅了され、
その後、YAMAHA RZ250、SUZUKI RG400ガンマなどなど乗り継いでいきました。

サラリーマンとして働きながらバイクに乗っていた中、「気になる点が見つかるとバラし、整備が終わると乗って確認」を、
休日の土日に実家のガレージの隅で始めると、昔の記憶の蘇りと共に夢中になり、
改めて、部品から全てバイクと向き合う事が好きな自分である事を再認識しました。

私はサラリーマンとして働いている中、バイクと改めて向き合った事で自分を取り戻しました。
実家のガレージから一歩進み、働いていた会社からも一歩進んで
ハツミモータースとして独立して自分の脚で前に進み、バイクと向き合っていく人生を選びました。

「昔、バイク乗っていたんだけどねぇ」
「(これから)バイクに乗ってみたいんだけどねぇ」
と言ってるだけになってませんか?
乗っていたバイクは動かなくなっていませんか?
動かなくなっているのは、あなたの心かもしれません。

私はバイクを通して、あなたが前に進むこと、心が走ることを応援したいのです。
感じませんか?
バイクの振動、バイクの音、バイクの匂い。

あなたの心が走りだせるように、バイクを整えてお待ちしてます。