『さて。ばらしてみっか!』です。
※マシンの販売だけでなく、カウリング補修/ブラスト処理も承ります。
この車両は、某有名オークションで落札した車両です。
ハツミモータースになってから初めて仕入れた車両となります。
この後、同オークションでTZR250(3MA)、R1Z(3XC)と続けて落札しました。
この2台については別の機会に掲載しますね。
諸事情(一人作業なんで・・・)によりまだ全く手つかずの状態ですので・・・
TZR250R(3XV)言わずと知れたヤマハ2ストの雄TZRの最終型です。
TZR250R(3XV)基本スペック
車 種:TZR250R
型 式:3XV
排気量:249CC
エンジン形式:2ストローク V型 2気筒
エンジン始動方式:キックスターター
燃料供給方式:キャブレター
最高出力:45PS
乾燥重量:126kg
発売年:1991年
年式は車体番号から91年式の馬力規制前のタイプだという事がわかります。
バイクに詳しい方は知っていると思いますが、馬力規制について少し記載しますね。
馬力規制について
下記は私のつたない記憶でしかないので、簡単な説明に留めますが、詳しく知りたい方は
ウィキペディアにも掲載されていたので、参考にしてください。
リンクを張っておきます。
私の知る範囲では、旧運輸省による「過度の馬力はスピード違反や交通事故の増加を招く」
という指摘から自動車工業会での申し合わせにて発生した規制で、80年代は
- 50cc:7.2PS(馬力)以下
- 125cc:22PS以下
- 250cc:45PS以下
- 400cc:59PS以下
- 750cc:77PS以下
- 1000cc超:100PS以下
に規制されていたと記憶しております。
ヤマハの2スト250ccでいうとこんな感じでした。
- 1980年 → RZ250(4L3):35PS
- 1983年 → RZ250R(29L):43PS
途中マイナーチェンジ(3HMだったかな?)で45psまでUP
- 1985年 → TZR250(1KT):45PS
といったところです。
1992年以降にさらに変更され、
- 250cc:40PSまで
- 400cc:53PSまで
となったと記憶しています。
そこに排ガス規制(確かEURO:3だか4だったかな・・・そんな感じです)が加わり、年々2スト車両が
姿を消していきました。
ホンっとに残念です。
今回のTZR250R(3XV)の場合は92年型以降キャブレターとCDIの変更にて40PSの規制をクリアをしていたようです。
ただし輸出モデルは対象外で、同じ車両でも良く逆車(逆輸入車:海外輸出モデルを日本に逆輸入)
と呼ばれる高出力マシンが人気でした。
「逆輸入」の流れでちょっと脱線…
友人がスズキ SV650S に乗ってます
私の友人がスズキ SV650S(2001年式キャブ車)という筑波サーキット専用の車両を所有しており、
整備を担当させてもらっています。
これは先述の逆車で、国内仕様の車両と比べてみると、吸気系ではキャブレターの径や、エアクリーナー吸い込み口などの径が違っています。
まあ~フルパワーなのは良いのですが、部品番号等を調べるのが大変なのと、もう22年前の車両なので欠品部品が多いです。
その中でも、『専用工具』がネットにも出てこないのが難点です。
(海外のネットには出てきたりしますが、びっくりするくらい値段が高い!!)
そんな時は必要な寸法を測って自作です・・・それがまた楽しいんですけど(笑)
別の友人もスズキ GSX-R1000
また、別の友人もスズキ GSX-R1000(L3)にて筑波サーキットを疾走しておりますが、こちらも逆車です。
このGSX-Rも部品番号を調べるのが大変です。ネット検索しても英語だったり。
(私は英語がとっても苦手なんです。学生時代赤点補習ばかりでした。)
でも同じGSX-R1000を乗っている方が、ネットに情報を掲載してくれたりして、とても助かってます。
鈴菌感染者の皆様。ホントありがとうございます。いつも感謝しております!
※「鈴菌感染者」とは、バイクメーカースズキの熱狂的な信者の事です。
私も少々感染しているような兆候にあります。まだ微熱程度ですが・・・
スズキ RH250
実は昨年スズキ RH250という、これまたマニアックな2STオフ車(オフロードバイク)を購入し、レストア中だったんです。
前述のSV650の整備に追われ、今現在、全く進んでいません・・・(笑)
余談ですが、このRH250は、松田優作さんの遺作となった映画『ブラックレイン』のラスト近くでぶどう畑を疾走していた車両のようです。
冒頭で主演のマイケル・ダグラスさんが乗っていたハーレーのスポーツスター?と賭けレースをした相手がGSX1100F?かな。
また、この映画の有名なシーンで登場したGSX-R1100?などなど
この映画の制作関係者の方も鈴菌感染者だったのかもしれませんね・・・
では、今回の車両を落札した経緯や、確認したポイントなどを説明したいと思います。
落札した経緯
見た目は非常にきれいな(純正色ではない。自家塗装では?の記載あり)車両なのに入札がありません・・・
オークションでよくある、『クランキングします。』や『初爆確認済み』ではなく、エンジン始動確認済み。
ほぉ・・・良いじゃん。
掲載されている写真を、よ~く見るとブレーキレバーが折れてたり、クラッチレバーが削れてる?
う~ん・・・
アッパーカウル左側が割れてたり・・・なのでたぶん立ちごけでしょう・・・
細かい内部はさすがに見えないなぁ・・・ここばかりはいつも賭けなんだよな・・・
距離が3万km超えてるのかぁ・・・だから皆入札をしてなかったんかな・・・
タイヤもサイドが溶けてたりしてるわけではないし、充電用のUSBなんかも付けてあったり・・・
ツーリング主体だった車両かな・・・
あ、そういえばこの色!これたぶん15年以上前にタイラレーシングさんで出してたカラーリングだよな・・・
良い色だな・・・まあちょっと手を加えてあげれば・・・・
あぁ・・・俺ってなんでこんなにヤマハの2スト好きなんだろ・・・
これ良いなぁ・・・欲しいなぁ・・・欲しい!!
もうこの時点で50%の確率で落とす気になっています。
で、ハイボールを4杯吞んだ(普段は奥方に怒られるので2杯なんです。この日は不在だった・・・ニヤリ)勢いが残りの50%を後押しした形にもなって落札した次第です。
(お酒の力って凄いですし怖いですね。皆さん呑みポチには十分気を付けてくださいね。家庭内不和等にならぬように・・・)
っというわけで、購入(落札)。
車両を埼玉某所まで引き取りに
私の初代軽トラは20年落ちの軽トラなので高速道での移動は厳しいんです。
(どうアクセルを踏み込んでも90km/hくらいしか出ません)
が、さすがに早く見てみたかったんです。圏央道を使っていきました。
案の定ラジオが聞けないくらいエンジンが唸ってます。
走っているあいだ、ずーっと横浜銀蝿さんの『うなる 直管闇夜をさき』のフレーズ?が頭の中を駆け巡っています。
そんなこんなで無事到着
大きな倉庫にたくさんのバイクが置いてありました。
お店の方も親切な方でしたね。良かったです。
お店の方にご挨拶をして、さくっと車両の確認です。
まあ写真で確認したのと印象は一緒です。呑みポチだったので正直ちょっと不安もありましたが・・・
お店の方と返納書類と、車体番号の読み合わせをして、手続き完了。
さあ積み込みです。
さて・・・っと、キーON
『ウィッウィー!』お?バッテリー生きてるし、ちゃんとYPVS作動するじゃん!
さて・・・っと、キック1発・・・は不発・・・
おら!2発目!・・・で、パランパンパンパンパン!と
例の2スト独特のサウンドと白煙が・・・あぁ~相変わらず良いにおいだぁ~!
(「はじめまして、ハツミモータースです」のブログ記事にも書きましたが、このにおいと音ががたまらなく好きなんです)
っと、しばし感慨に浸れるくらい始動性は良かったですねぇ。
おかげで積み込みも楽勝でした。
さあ戻りましょう!
良い買い物(仕入れ)ができ、年甲斐もなく爆上がりしたテンションと、積んだバイクの重量のせいで復路の圏央道で、往路以上に軽トラのエンジンが唸っていたのは言うまでもありません。
(こののちに千葉県某所まで、これまた圏央道にて3MAを引き取りに行ったことで、軽トラにある事件が起こるのですが、それはまた別の機会に)
さてと、確認すっか・・・
確認ポイント
外装系
- アッパーカウル割れ、右シートカウルステー欠損(写真での掲載と同じ)
- 各カウルのインシュロック止め(ナット、ボルト類の紛失および一部ステー曲がり)
*おそらく立ちごけが原因と思われる。自分で治そうと努力してたのだと思います。 - フレーム曲がりなどの大きな損傷は無さそう(水準器での計測および溶接部の剥がれ痕なし)
あ~やってしまった。カウル外していく写真撮り忘れた・・・ - 各カウル類の内側は未塗装(やはり自家塗装だな・・・表側はとてもきれいだけど・・・)
- タンク内は一見して錆なし(念のため別途ガソリン全抜きしてファイバースコープで確認しましょ)
- ブレーキレバー先端折れ、クラッチレバー小傷
- 左チャンバーサイレンサー小傷(立ちごけだね)
- チェーン錆、スプロケ摩耗(微妙だけど交換だな・・・)
- 左フロントサスオイルにじみ(両方シール交換だな・・・)
- 灯火類正常作動
- 各部経年の塗装剝がれ、小傷、錆あり
- 全体のやれ具合から距離数とは合致してそうな気がします。
- ブレーキは見た感じ大丈夫そうだね・・・でも、どうせエンジンも降ろすしOHすっかなぁ・・・
- キーは純正キー1本とサブキー1本 メイン、タンク、シート全て1本のキーで可動
エンジン系
- フロントシリンダーエキマニ側フランジ部よりオイル漏れ
(チャンバーフランジ部のナットが1個無し。これじゃあ漏れるよね)
- ヤマハ特有?のシリンダー、クランク部の白錆?あり
- ラジエター回り、パイプ接続部より水漏れ及び漏れ痕無し
- キャブは大丈夫そうだけどいったん開けましょ!
(3XVってキャブの一部にラジエターからの温水が通ってなかったっけ?中を見とかないとね)
あとはエンジンを降ろしてシリンダーの状態を見ないと何とも言えませんが、今のところの確認では、まるっきりの外れ車両ではないようです。
状態によっては腰上のみOHで行けるのかな・・・って思ってましたが、走行距離が3万kmを超えているので、クラッチ板と、クランク室のオイル溜まり、ベアリングの動きなんかは確認しないとならないので腰下も開けてみます。
いったんエンジンを降ろしバラしてみて細かい部分の再確認、状態により部品交換、補修、修正ですね。
っで、いつものごとく組み立ててからいったん登録して試走しながらキャブ調整って感じかな・・・
長期戦決定ですね。
部品ってまだ出るのかなぁ・・・RZ250(4L3)なんかはリメイク品がいっぱいありますが・・・
そこだけが心配です。無ければ流用加工か、ワンオフで作るしかないですね。
さて、どうしたもんかね?