BLOG
さて。バラしてみっか!

スズキ SV650S エンジン治療編 3/7

SV650Sエンジン_ピストンサイドビュー
初見アイコン
ハツミモータースロゴ
埼玉県久喜市の2輪中古買取販売《ハツミモータース》がお送りする、仕事だけではない、2スト大好きおじさんのブログ
『さて。ばらしてみっか!』です。
※マシンの販売だけでなく、カウリング補修/ブラスト処理も承ります。

前回までのあらすじ

エンジンの中から出てきたゴム製のクラッチ板のダンパー
どうやらまだ中に残ってる可能性が。
腑に落ちない点も多かったのでHさんに「全部バラしましょう!」と提案。
エンジンをフレームから降ろしました。

腰上のバラしスタート

エンジンの腰上、腰下と言われる部分は、2ストロークエンジン4ストロークエンジン(以下「2スト」「4スト」という)によって仕様が異なりますが、
大まかに分類するならシリンダー内腰上クランクケース内腰下となり、腰上からバラしていきます。

まずはシリンダーヘッドカバーを外します。

SV650Sエンジン_「シリンダーヘッド」の名称付き
分解組立て時には外した部品、ダストなどが入らないようにパイプ的な場所には詰め物をしておきます。

シリンダーヘッドカバーを外すと、
A:カムシャフトハウジング
B:カムガイド が露わに。これらも外していきます。

SV650Sエンジン_「カムシャフトハウジング部」と「カムガイド部」の名称付き
シリンダーヘッドカバーを外した直後

C:カムシャフトが見えてきました。

SV650Sエンジン_カムシャフト-1_名称付き-1

もう片方のA:カムシャフトハウジングも外します。

SV650Sエンジン_カムシャフト-2

カムシャフト等を外します。
D:タペット(カムシャフトがバルブを押す部分)が見えてきました。

SV650Sエンジン_タペット_名称付き

4ストエンジンの仕組み

ここで4ストエンジンの仕組みを簡単に説明します。
基本的に2ストエンジン4ストエンジンも、

混合気の吸気
 ⇩
圧縮点火
 ⇩
爆 発
 ⇩
排 気

という工程になります。

4ストはピストンの動きが、上死点と下死点の間を往復するストロークを2回行って
(合計4回のピストンの行き来=4ストローク)この工程を行います。

①下死点:混合気の吸気
②上死点:圧縮と点火
③下死点:爆発
④上死点:排気

2ストとの大きな違いは、そのプロセスの違いにより吸排気用のバルブが必要になることです。

今回のSV650Sは、4ストエンジンなので、バルブがあります。

この場では簡略説明として、詳細は下記(リンク先のウィキペディアのページ)を参照願います。
意外と面白いですよ。

腰上バラし完了

いつもバラす度に思うのですが、(エンジンは特に)
『こういう仕組みってよくできているよなぁ~!』と感心します。

ホント、メーカーの開発者の方って凄いですよね・・・想像力が半端ない・・・

目を輝かせてる男性(イラスト)

そしてシリンダーヘッドを外すと、シリンダーとピストンが見えてきます。

SV650Sエンジン_シンダーとピストンヘッド_視点解説イラスト付き
この視点から見たところ

下の写真はシリンダーヘッドの燃焼室です。
上の写真の反対側に位置する部分です。
バルブが4個見えます。

SV650Sエンジン_バルブ側_名称付き

このSV650SのエンジンはV型2気筒の
DODC 4バルブ』です。

DOHC:ダブルオーバーヘッドカムシャフトの略称
  ⇩
シリンダーヘッドの上に2本(ダブル)のカムシャフト
がある構造です。

4バルブ:吸気側2本、排気側2本の合計4本のバルブがある構造です。

SV650Sエンジン_カムシャフト-1_名称付き-2

腰上のバラしが完了しました。

改めて、いろいろと見て確認していきます。
バルブ周辺には結構カーボンが溜まっています・・・。

SV650Sエンジン_バルブ側

ちょっとおかしいですね・・・常に全開走行ならカーボンは溜まりにくいのに・・・
圧縮異常起こしてるのかな?・・・とにかく確認と掃除はしなきゃですね・・・

シリンダーを外し、露わになったピストンです。

SV650Sエンジン_ピストンサイドビュー

この時点で確認してみると、2ndリングとスペーサーの間に汚れがあります(???さっきのカーボン蓄積といい、ちょっとおかしい。なんで???)

疑っている男性(イラスト)

腰下のバラしスタート

ここまでのバラシは順調です。
腰下のバラしへと作業を進めていきます。

・・・が、腰下バラしのスタートにおいての最初の難関です。

ジェネレーターのマグネトーロータ外しです。

難関!マグネトーロータ外し

ジェネレーターとは下記の写真の部分(①と②)で、バイクに電力を供給する役割を担っています。

SV650Sエンジン_マグネトーロータ_名称付き

仕組みは①マグネトーロータ(磁石)がクランクにより回転し、②コイルで電力を発生させるというシンプルなもの。

小学生の時におもちゃに使うモーターを使って実験したことありませんか?
モーターの軸のほうを回転させると発電し、コードの先端に付けた豆電球が点灯するあれと同じ原理です。

モーターと電球(イラスト)

このモーターと同じ構造のものがバイク用として、ココに設置されているのです。

・・・なのですが、
このマグネトーロータを外すのがとても厄介。

マグネトーロータはクランクの軸に、下の写真にある半月板のようなスライドピンという部品でロックされており、外すのに物凄い力が必要なのと、外れたときに『バキン!!』っという物凄い音がして驚かされます。

ビックリ!(目が飛び出る)
SV650Sエンジン_スライドピン_名称付き

私もRZ250等を整備していた時、何回となく外しましたが、毎回『あ、壊しちゃった??』って思うほどです。

4万円の壁

ということでマグネトーロータを外すのですが、外す行程において、矢印の部分を固定する専用工具が必要になります・・・

SV650Sエンジン_マグネトーロータ_名称付き

この専用工具の入手を考慮し、ネットで調べたのですが、海外でしか売っていません。

しかも$254.79って?

1$=150円としたって 4万円弱 じゃん!!

ビックリ!(目が飛び出る)

マグネトーロータを外すためだけに4万円かぁ・・・。
エンジンをバラすだけで、かなりのコストがかかりそうだ・・・

金欠_男性(イラスト)

さて、どうしたもんかね・・・。

どうしたもんかね「つづく」

脱線話「後で気付いた恐怖」

ブログの編集をしている時に気が付いたのですが、「タペット」を説明する為に撮影した画像・・・何だろうこの真ん中の黒い影・・・ここ(作業場)なんか居るの???(泣)

SV650Sエンジン_タペット周辺
怖がりふるえる男性(イラスト)
腰が抜けた男性(イラスト)
魂が抜けた男性(イラスト)
神主さん(イラスト)