埼玉県久喜市の2輪中古買取販売《ハツミモータース》がお送りする、仕事だけではない、2スト大好きおじさんのブログ
『さて。ばらしてみっか!』です。
※マシンの販売だけでなく、カウリング補修/ブラスト処理も承ります。
旧車ってやっぱり手強い・・・けど面白い
旧車ってやっぱり手強い・・・けど面白い
今回はRD250(1973年式)の修理依頼をいただきましたので、その様子を掲載させていただきます。
実は、以前RZ250(4L3)を販売させていただいたお客様からのご紹介でした。
近域のバイク屋さんではご対応いただけなかったようです。
うわさはちらほら聞きますが、やっぱり旧車をやるとこって少なくなったんですかね・・・
口コミがすべての私にとって非常にありがたいことです。
一応HPはやってますが・・・(笑)しかも2ST好きだし!!
初見(「はつみ」じゃないよ「しょけん」だよ)
いやあ・・・しっかしキレイですよね!!1973年式RD250(352型)ほぼオリジナル。
おそらくオールペンされたのかと思います。
お話を聞きますと購入当初より、かなり調子が悪いようでした。
購入は有名なXXオークション・・・
でも一概に出品者側だけの問題とは言えない・・・んですよね・・・
ホントに状態を把握してない場合もあるし・・・前にも掲載しましたが、この判断は難しいところです・・・
状態は下記のようでした・・・
- エンジンの始動不良
- エンジンが始動しても一定距離を走るとストールする。
- バッテリーを交換してもすぐあがる。
各部をよく観察しながら原因を探っていきましょう!
バラし開始
「基本的には全てお任せします。」と言う事でしたが、お客様と連絡をとりながら作業を進めていきます。
せっかくのキレイな車両ですし、できるだけオリジナルを保って整備したいですもんね。
お聞きした症状から推測するに恐らく電気系のトラブルだとは思うのですが・・・
観察を進めて行くと・・・
ま、こいつらは怪しいところですよね・・・
コンデンサーとポイント
イグニッションコイル
各部の抵抗などをしらべてみるとやっぱNG。ここは交換対象ですね。
ただ、これだけでバッテリーがあがるってのもおかしな話だしなぁ・・・
始動しないとか、ストールはあるかもだけど・・・
さらに調べて行くとちょっと気になるところが・・・
オイル漏れが結構・・・ただギアオイルではなく混合用のほうがなかなかの量漏れてる・・・
オイルタンクの確認用の窓から(完全なシール劣化ですね・・・)
オイルポンプのところから。1日2ccくらい・・・
まあ旧車ならこんなことも無い事は無いが・・・多いよな・・・
やっぱりどうしても気になってオーナー様に連絡し、ピストンの状態を確認します。
まあ、マフラーを外せば簡易的には確認できるので!すが・・・
あ!この色は!!
あ、この色はマズイです。しかもオイルっ気なしでカピカピっぽい気がする・・・
すぐオーナー様に報告し、エンジンを下す許可をもらいます。
十中八九オイルポンプに異常があるのは確実です。
実際にシリンダーを開けてピストンの状態を見てみると・・・
シリンダーも
焼き付きですね。
クランクも少しガタが発生しています。でもシリンダーは0.5mmで行けるかな・・・
っというわけでシリンダーとクランクのOHはSAO TEC様にお願いします。
問題はオイルポンプです。まあしくみは単純ですし。
ポンプの軸径等が少々変わるだけでRZやR1Zなんかも基本形態は一緒です。
パーツもまだ出ますしね!
ポンプのシャフトに微妙な段付きがあるので、慎重にペーパーで慣らしておきます。
シールやガスケットを交換し組付け、ギアを手回しし、ストロークを見るのですが・・・
赤い → 部分の動く距離(黄色⇔)
ミニマム(アクセル全閉時)の動きが全くない・・・焼き付きの原因はこれですね・・・
シムをいれてストロークを調整します。
この部分は2ST車輛の肝です。しかも長く乗るとシムもへたってきます。
アクセル全閉時 ⇒ アイドリング時もさることながら、走行中のアクセルOFF時が一番危険です。
2ST車を購入するときは、可能ならばこの部分を確認することをお勧めします。
さて。シムを交換し調整も完了です。これでオイルポンプはok!!
続いてオイルタンクのゲージ窓の交換です。ここは結構大変な作業です。
何が大変って、劣化したゴムが固くてなかなか取れない!&この窓がタンクの中に落ちたら大変です!!
って・・・『はい。しっかり落としました・・・』
慎重に作業してたのに、ちょっと力入れたら・・・『スポっ!!』
思わず『ハぁンッ!!』っと声が出ましたが後の祭りです・・・まあ・・・小さいペンチで潰しながら取りましたけどね。
中にカスが残っててもまずいので洗浄を実施しました。えらいタイムロスでしたね・・・(泣)
修正後はこんな感じです。漏れなし!!
オイルポンプも漏れなし。
これでオイル系はok!!
SAO TEC様のOHも完了し部品が到着しました。
さて!エンジンを組んでいきましょう!!
コイルを組付けるのに、ボルトにある程度のトルクをかけて行くのですが・・・
『ウニャっ!!』っと言う、そう。経験した方ならわかるあの感触(泣)
金属疲労ですね・・・
まあ、すぐに折れた部分も外れたので、発注しようとサイズを確認したら・・・
『え?M7??んなサイズあったっけ???しかも細目??』
日本の規格にありません
そう。
日本の規格には無いんですってねM7って・・・まあ海外品でAMA〇〇〇とかで買えますが、
長さが足りないんですよ・・・
調べたらワンオフで作ってくれるとこもあるようですが、1万円から・・・
ってことで自分で作っちゃいます。
ミニ旋盤があってよかった・・・M10から落としてようやく完成(笑)
エンジンも組あがりました!
エンジンをフレームに組付け、エンジンの始動を確認。始動はかなり良い感じです。
次は電気系を確認していきます
すでにイグニッションコイル、ポイント、コンデンサーの交換を終え、ポイント調整、ブラシ調整も実施。
ポイント調整って地道な作業の繰り返しですが・・・『好きです!!(笑)』
あ、ちなみに今回のRD250ですが、型が古いためサービスマニュアルがなかなか見つからず同じ年代のRX350(RD350の輸出仕様)のマニュアルを参考にしました。
そう。あくまでも参考です。まあ・・・欲しいところのデータが無い!(笑)
年季入ってますよね!(笑)
ちなみに配線図。情報量少なぁ~!!あくまでも参考で・・・(笑)
なので1本ずつ当たっていきます。
あと、配線の色も信用してはいけないです。
長きにわたる歳月の中でオーナーさん(またはバイク屋さん)が、配線の色を変えていることが多々あります。
今回もレギュレターの配線が1部違う位置に接続されていました。
後つけレギュレターの説明書の通りなんですけどね・・・
それが原因かと思われる配線の異常がこちら。ショートにより配線が溶けています。
あと色々な所で結線されています。
溶けてしまった配線等を引き直し、エンジンをかけてみます。
正しい配線経路にしたことで充電はされているようです。
ただ、アクセルをあおっても13.5Vくらい。低いよねぇ・・・14.5V以上欲しい・・・
まあ、12.1V以上の電圧があればバッテリーがあがる。ってことはなかなか無いので一旦はokとしたのですが・・・やっぱり走行中にバッテリーが上がってしまいました。
需要に対して供給が少ない。
もしくはどこかで使いすぎ(ショートもしくは抵抗大)
これは結構悩む・・・まだどこかに有るな・・・
ま、悩むよりまずまだ見ていないところを地道に1本ずつ確かめましょう!!
で、ライトの中を開けると・・・
ライトのダストキャップが溶けています。『マぁ~ジかこれ!!』
さらにイグニッションキーの+配線が熱劣化にてカチカチに固くなっています。
その他数本も劣化で固くなりカプラー等も焦げています。これ危なかったね・・・
『ここだ!!』原因が見つかり安どのため息・・・
劣化した配線を繋ぎ直し、またライトのバルブも白熱球?からLEDに変更しました。
充電圧もアクセルをあおると15Vまで行きます。OKOK!!
念のためライトをONしたまま1時間ほど乗ってみましたが、バッテリーの電圧低下は無し!!
完了です
オーナー様にご報告をして、納車してきました。
いやぁ・・・あの時のオーナー様の嬉しそうなお顔は忘れません。
なんか俺も嬉しくてウルウルしちゃった・・・やっぱり良かったこの仕事してて!!
別に依頼をいただいていたSUZUKI GT380
また、別に依頼をいただいていたSUZUKI GT380も先日修理完了しました。
こちらはGTサンパチの持病であるキャブのラバーの溶け除去とキャブOH・セッティングでした。
なかなか面白い仕組みのキャブでしたね。
ただ溶けたゴムがなかなか取れない!ハイターと歯ブラシ使ってひたすら擦り取りました(笑)
振り返って
やはり旧車を購入する場合は細心の注意をはらうことをお勧めします。
まあ、今が良くてもどこかが悪くなる可能性はあるのですが、そのリスクを減らすことはできます。
買ったけど調子が悪いなどの症状が出ていたら、お気軽に問い合わせください。
なんせ地道な作業は『かなり好き!!』なので(笑)
お仕事報告
現在(2025/11/05)、YAMAHA RZ250RR(51L)を整備中です。
51Lの低走行車(12000キロ)多少ヤレてますが、状態良し。
アンダーカウルまであるのは珍しいです。
11月中に仕上がり予定…だったのですが、修理依頼が立て込んでおり、12月中旬に仕上がる予定です。
RS660
2025年筑波ロードレース選手権第1戦
ゴリ兄参戦記
Index
過去の筑波ロードレース選手権の記事
Index
2023年と2024年の筑波ロードレース選手権の記事の第1話は下記より。



