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さて。バラしてみっか!

ヤマハRZ250(4L3)OH他 編-1

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埼玉県久喜市の2輪中古買取販売《ハツミモータース》がお送りする、仕事だけではない、2スト大好きおじさんのブログ
『さて。ばらしてみっか!』です。
※マシンの販売だけでなく、カウリング補修/ブラスト処理も承ります。

HPを見て…の依頼

当HPの開設は、2023年11月22日
開設してから1年以上が経ち、徐々に閲覧してくださる方も増えてきているようです。

そんなHPをご覧なったお客様より依頼を受け、RZ250(4L3)の不具合を確認をすることになりました。

RZは何回となくバラシを重ねており、私の得意分野(笑)

ちなみに、お客様より問い合わせいただいたのは9月の中旬でした。
依頼の内容は・・・

  • アイドリング時に不正な爆発が起こっているので確認してほしい。
  • クランクの異常等であればOHをお願いしたい。

とのことでした。

9月21日バイクをお預かり

(2024年)9/21(土)にバイクをお預かりしながら今までの整備状況などをお聞きします。

シリンダーボーリングやクラッチのOH等々・・・
来た時からキレイな車体だなぁ・・・とは思っていましたが・・・

やはり御自分で手の入れられるところは細かなところまで整備されていました。

なるほど_男性(イラスト)
目を輝かせてる男性(イラスト)

作業内容の見積もり

クランクのOHが必要となった場合、クランクのOHのみであればクランクケースを割って、クランクを業者さんにてOHしていただき、組上げという工程になります。
通常であれば、おおよそ2週間ほどあれば完成します。

今回はキャブの調整等もありますので、都度お客様と相談しながら作業内容を決めてから進めます。

旧車の維持はお金がかかるので、出来る限り低コストで行きたいので・・・
消耗部品も出ては来ますが高いですからね・・・

今回9/28に筑波選手権の最終戦があったため10月からの作業開始となることで、お客様と擦り合わせし作業を進めていきます。

確認開始

取り急ぎ下回りの確認から行います。

あらら・・・きれいな色のオイルが垂れています。

ドラムから漏れたオイル(イラスト)

『ん???
匂いからすっとギアオイルっぽい??
どっかシール抜けてる??ブリーザーから?』

『あ、こっちもだ・・・』

とマグネトーロータ側。
こちらはちょっと黒ずんでて混合気の匂い・・・

確認のためマグネトーロータ側のカバーを開けてみます。

RZ250クランク

『あ・・・場所的にたぶんクランクのシール抜けてるな・・・
エンジン降ろしてマグネトーロータ外してみようか・・・』

っというわけでお客様にエンジンを下す旨ご連絡します。

この4L3のエンジンは並列のため、ウインチを使わなくても容易に1人で脱着ができます。

何しろ軽いので!!(笑)

外装部品を外し、ラジエターを外し、各配線を外してエンジンを下します。

エンジン脱
エンジン組上げ

取り急ぎマグネトーロータを外します。

『あ、やっぱり抜けてる・・・これじゃあ圧縮漏れするよね・・・』

クランク ジェネレータ側

いずれにしても、ここのシールが抜けた場合はクランクケースを割らなくてはなりません。

再度お客様にクランクケースを割る旨のご連絡をして作業を進めます。

シリンダーを外してクランクの動きをちょっと見てみます。

『ん???』ちょっとガタが大きいですね。

ここのふり幅はたしか1mm以下だった気が・・・とマニュアルを確認するとやはり

最大で0.98mmになっていますが・・・

クランク①

1番シリンダー側のクランクが、4mmほどガタがあります。

心配_男性(イラスト)

大径コンロッドのベアリング摩耗であれば良いのですが・・・スラッジも出てる・・・

こりゃあ・・・っと、ちょっと嫌な予感がしてシリンダーも確認してみます。

ビックリ!(目が飛び出る)

ピストン当たりの縦傷がついています・・・やっぱ振られてたか・・・

ヘッドカバー側も左側が燃焼異常を示しています。

いずれにしてもシリンダーのボーリングとクランクのOHは必要になってしまいます。

いろいろ調べたのですが、納期や価格の面から、今回※サオテックさんにお願いしようと思います。

※サオテックさんはクランクのOH、シリンダーのボーリング加工、フライホイルの軽量化加工など様々なエンジン部品の加工を行っているお店です。
今回RZ(4L3)のシリンダーボーリングをお願いしましたが、その他車種も取り扱っています。

サオテックさんの問い合わせフォームに上記の写真を添えて確認します。
回答は翌日いただけました。対応が早いとありがたいですね!

・・・が、やはりクランクのコンロッド先端の4mmのブレはベアリングではなくクランクピンの摩耗が大きいと考えられるかも・・・その場合OHは不可です。

とのことです。

細かな説明も頂きました。非常に親切丁寧な対応です!!

特に2STを乗っている方で最近パワーが出ない・・・圧縮??等々お悩みの方は相談してみると良いと思います。

再度お客様と相談

再度お客様と相談し、以下の処理をする事になりました。

  • OH不可の場合を考慮しクランクは市販の強化クランクを使用。
  • シリンダーのボーリング(0.75mm ⇒ 1.00mm)をサオテックさんに依頼。


部品の到着まではひたすら磨きに徹します。
そう・・・ガスケットのカスをひたすら削って・・・

この作業が一番時間をかけるところなんです!

合わせ部分はもちろんのこと、外面の油汚れや固着した油泥を落としていきます。

クランク割るのってこの作業が8割ですね・・・肩凝るけど地道な作業好きです・・・(笑)

てへぺろしてる男性(イラスト)

ギアも1枚ずつ確認しましたが問題なし。OK!!

虫眼鏡で粗探しする男性(イラスト)

あとはお客様から依頼のあったシフトチェンジ時の違和感・・・

シフトシャフトを調整します。
ここがずれているとギアがニュートラルに入り辛かったりします。

矢印の隙間を左右対称に!!

た~だ、ここの+ネジが固いんだ・・・体重載せて回さないとすぐ舐めちゃうし・・・
私はここは+ドライバーに全体重をかけ、ドライバーをモンキーで回してます。
私の体重の重さもありますが、そうすると舐めないで回せますよ!(笑)

himan05_man

作業する体勢も重要ですので腰下のOHをする場合は気にしていた方が良いですね!

このまま順調に作業は進むように見えたのですが・・・

この後、大きな試練が待ち受けていたのでした・・・。

ピットボードバージョンの「どうしたもんかね」を掲げる初見さんとHさん